サルタリィ・ベンは、競走馬飼料・競走馬サプリメントを通して丈夫な馬づくりを応援しています。
競走馬飼料として多用されているゼラチン、コラーゲンとアミノ酸の補給を目的とした純品100%タイプゼラチンは、 予防医学の素材としても重要な物質です。
運動器(蹄・骨・関節など)の健康に!若馬の成長に!胃腸の健康・疲労回復に!
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第1章:健康な馬には『栄養と運動』が必要!!
第2章:競走馬・競技馬の運動器官の管理と飼養(栄養)管理を如何にすべきか?
第3章:馬の栄養管理について
第4章:馬の感覚器系の仕組みを知り予防医学と馬の習性や心理の一部を解き明かそうではありませんか?
第5章:蹄の仕組みと疾患・予防について=蹄のしくみを知ろう=

第1章:健康な馬には『栄養と運動』が必要!!


現在、日本にいる多くのサラブレッドは、血統的に優れた世界に冠たる馬達が集まっています。
そのなかで、丈夫で健康、しかも更に磨きをかけて世界で戦える馬達・勝つ馬達をつくるのに最も大切なことは、
栄養と運動であ
ろう!!。
病理医である私は、多くのサラブレッドを解剖して、一般の人がみることが出来ない馬体の内臓・臓器を隅々まで観察し、病気の
予防を研究してきた人間として提言できる言葉だと思います。
しばらくの間、消化器の事柄を書くつもりなので、戯言(たわごと)として読んでいただいて結構ですが、読者の皆様に何らかの
参考になることを期待しつつ連載していく予定です。

健消化器系の仕組みと疾患・予防を目的


『口腔〜肛門までの消化器官、肝臓及び膵臓の仕組み、疾患などの観察から疾患予防を考える』ことを最終的な目的としますが、今回は他の動物と比較しながら、先ずは馬の消化器の一般的な仕組み・特徴を知ろうではありませんか。


【ドサンコ牧場での牧草刈り作業の一コマ】

(第1話)消化器系とはどんなところ?

(第2話)馬の口腔の仕組みと働きを知ろう!!

(第3話)咽頭と食道そして胃の仕組み知って健康な馬にしよう!!

(第4話)腸の仕組みを知り丈夫な馬をつくろう!!

(第5話)便の形成が主な役割の大腸について知ろう!!

(第6話)ボロと命のカギを担っている腸について知り長命な馬をつくろう!!

(第7話)肝臓と膵臓の仕組みを知り消化器官の丈夫な健康な馬づくりに役立てよう!!

(第8話)剖検例から消化器疾患の予防を考える

(第1話)消化器系とはどんなところ?

1)消化器系とは、馬が活動・運動するためのエネルギーや身体をつくるための原料を得る部位なのです。

2)
【強くて丈夫な馬作り】には、馬に確りした栄養価のある餌さ・飼料・飼葉を与えることが必須条件の一つです。消化器の機能が悪かったり、弱かったり、病気だったり、あるいは消化器の本来の機能や構造の仕組みを知らないままに餌さ・飼葉を与えてしまった場合はあまりにも大きな損失を蒙ることになります。その消化器系には、口から肛門までの管と歯、唾液腺、肝臓、膵臓などからなっています。馬社会に出回っている餌さにはいろんなものがあり、栄養価の高いもの、あるいは低いものなどがあり、これもまた、皆様の気配りが必要になります。

3)
馬は、角をもつ牛のように外敵から身を守る武器を持ち合わせていないので、神経質なくらい周囲の状況に気配りをし、しかも速く走り逃げるために小さな胃を持っています。従って人間と同様に馬の胃には多くのストレス性の病変が存在し、管理が悪ければ胃に孔があくことから腹膜炎を発症し、死にいたる場合もあります。

4)
馬は食べた飼料・飼葉から栄養分を胃や小腸で消化・吸収した後、大腸で水分吸収と糞塊(ボロ)をつくり排泄しています。馬にはこの小腸や大腸において構造上の弱点があり、疝痛を発症し死にいたる病になることが多くあります。

5)
日常の細やかな飼養管理が求められる臓器なのです。

6)しかしながら、
『痩せ馬鞭を恐れず』、『飢えたる犬は棒を恐れず』⇔腹がすいたり、困っている時は食うためにどんなことでもするし、制裁など恐れないことのたとえです⇒馬は体の割には胃が小さいので、勝手に食べさせると危険な状態になります。

7)
草食動物(喰われる動物)と肉食動物(喰う動物)
*生き物に大切な食べ物に関することであるが一般的に、喰われる動物は繁殖力が強く、病気や老齢の場合が多く見受けられます⇔全体の数の調整にあるとされているが、草食動物は健康であることが最も大切なことなのです。


【日高の放牧地での親子】

8)動物は
捕食獣に出あった場合⇔三つの行動・方法をとります。
*必要な距離をおいて脚力で逃げる。
*ウサギのように穴や藪に隠れる・突然動かなくなる。
*牛や
のように円陣を組み角や後肢で反撃する。

9)
『馬は立つほど飼え、牛は臥るほど飼え」
:餌を与える時に、馬は勢いよく立つほどに、牛は横になるまで餌を十分与えることのたとえ。
ウマは捕食獣に襲われる危険性から、放牧中95%以上立ったままの姿勢で過ごし、牛は1日の内9〜12時間は横になり、休むか眠っている⇔この違いは、消化器構造・仕組みにあります。ウマの消化器の主体は盲腸にあります⇒多量のガスを肛門から放屁する⇔ガスの排出は立位で運動・走行をしたほうがガスを出しやすいのである。牛は特有の胃袋にあります⇔寝ながらの反芻(かみかえし)により大量のガスの発生⇒放屁ではなくオクビ(曖気・ゲップ)として口から排出(1時間に15〜20回)するほうがガスを出しやすいのである。

【秋季〜初冬における日高での放牧風景】

10)
『馬は腹張れば暴れ、人間は腹減れば騒ぐ』
:馬と人間の違いを示しています。
『馬は逆風を喜び、牛は順風を喜ぶ』
:馬と牛の違いを示しています。
*草の食べ方の違い⇒馬は上下の切歯・前歯で短い草を咬みきり採食⇔逆風のほうが食べやすい。牛は長い草を舌で巻き込んで咬みきるので、風が無いほうが食べやすのである。
ウマは採食した草は、消化管内に24〜30時間滞留させて必要な栄養分を摂取し馬糞として排出します。
ウマの食道の構造は自分の意思で自由にならない平滑筋からなっているために吐き出すことが出来ません。しかも胃が小さいので一度に大量に食べると胃破裂を起こします。盲腸は、大きく(30ℓ)無数の微生物が住んでいて、他の動物が食べない草のセルロースを分解しています⇔馬の分泌する消化液ではセルロースを分解できないので、多くの微生物を盲腸に住まわしているのです。


【馬と人間の消化器の模式図比較】:左側:馬の消化器の全景。右側:人間の消化器の全景。

11)
『馬は夜飼え、人は昼飼え』
:馬を元気よく仕事をさせるには、夜でも餌を食べられるようにしておき、人間は労働中の食事を欠いてはならないというたとえ⇔馬には十分すぎるほどの飼料が必要で
『馬は飼い殺せ、乗り殺せ(子供は教え殺せ)』などの諺がある⇔ウマは決まった時間に餌を与えるのではなく、時間をかけて夜間といえども採食のできるようにしておくべきです⇒このことは消化管の構造上にあることわざです。因みに雑食動物は両者の中間的な消化生理を持っています。

12)
草食動物は、1日のうち長時間の採食で断続的に餌を食べ続ける⇔継続的採食者群と言われる⇔馬はこの群に相当します。

13)
肉食動物は、短時間にまとめて採食し、次の採食まで長い休止をとる⇔断続的採食者群と言われます。
ウマは牧場内で1日の70%を採食(咀嚼回数は8万回)に費やしています。草は繊維質(セルロース)が多く消化し難く十分な咀嚼が必要で、消化管の長さ(小腸22m、盲腸1.2m、大腸7m。肉食で全長数m)、容積は肉食動物の比ではなく大きい。
ウマには胆嚢が無い⇔ウマは採食の時間に多くを費やしているので、肝臓は間断なく胆汁を分泌して消化吸収に役立てるためなのです(肉食動物は採食時に多量の胆汁が必要なために一時的に貯めておく胆嚢が必要なのです)。
ウマの盲腸は、多くの微生物でセルロース・繊維質を分解する必要性から20時間の滞留を行っています。

14)草食動物がタンパク質不足の場合; 生の魚を食べるようなら、餌の中にタンパク質量を増やしてやること。また、馬が通常食べることのないものを食するようなら、栄養不足や寄生虫などへの気配りが必要になります。
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