サルタリィ・ベンは、競走馬飼料・競走馬サプリメントを通して丈夫な馬づくりを応援しています。
競走馬飼料として多用されているゼラチン、コラーゲンとアミノ酸の補給を目的とした純品100%タイプゼラチンは、 予防医学の素材としても重要な物質です。
運動器(蹄・骨・関節など)の健康に!若馬の成長に!胃腸の健康・疲労回復に!
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第1章:健康な馬には『栄養と運動』が必要!!
第2章:競走馬・競技馬の運動器官の管理と飼養(栄養)管理を如何にすべきか?
第3章:馬の栄養管理について
第4章:馬の感覚器系の仕組みを知り予防医学と馬の習性や心理の一部を解き明かそうではありませんか?
第5章:蹄の仕組みと疾患・予防について=蹄のしくみを知ろう=

第2章:競走馬・競技馬の運動器官の管理と飼養(栄養)管理を如何にすべきか?


国際的に活躍の出来る馬づくりを念頭に病理形態学の立場からレースや競技前・中・後での運動器系と栄養のケアー・
予防
について考えてみたい。
 特に多数の馬を解剖するチャンスを与えられ、その馬達が運動することによって発症してしまった疾患は、過去に
原因・要因となる病気を持っていて、それが現役の疾患に関係していることが多く見受けられた。
 また、馬の多くの疾患は運動器疾患であるが、その背景には人間・馬取扱者の無知により発症してしまい廃馬や
用途変更を余儀なくされてしまっているのが現実でもある。

これらの事柄をふまえて以下の@〜Cに要点を絞って記述してみたい。
@ サラブレッドは、生まれてから競走馬として登録されるまで生産地・育成地で過し、トレーニングセンター
  出走のために調教され、しかも最終的には競馬場で競走馬としての評価が下される運命にある
A 競走馬・サラブレッドは乗用馬を含めて人間がつくるその馬達は人間に応える。この関係が良好であればあるほど
  素晴らしい成績・成果を見出すことになる。特に栄養と運動への心配りが大切である。
B 馬を扱う者・人間は馬の飼養管理はさることながら、日常の栄養を含めた自己管理を忘れてはならない
C 競走馬は、繁殖そして出生直後から速く走るために選択淘汰される厳しい競争世界を生き抜いていることから
  運動器管のみならず消化器系にも多くの問題を抱えることになる
  その経済的損失は莫大なものになることから、運動前・中・後の疾患予防を考えてみようではありませんか?。

□ 第2章 □

(第1話)運動前後の管理の基本

(第2話)骨疾患とその管理

(第3話)筋・腱・靭帯の疾患と管理

(第4話)年齢別・ライフステージ別運動器管の管理

(第5話)馬の運動器系における検査・診断法について

(第6話)馬の栄養と骨格筋・筋肉管理の基本

(第7話)競技やレース期間中の飼養・栄養管理

(第8話)出走・競技前の飼料給餌について

(第9話)出走・競技後の飼料給餌について注意すべきこと!!

(第10話)強い競走馬・競技馬を目指す時に何が必要か?

(第11話)人馬一体のなかで活躍する馬を作るための提言・纏め

(第1話)運動前後の管理の基本

1)運動前(レース・競技前)の馬の基本的な管理
@ 出走・競技前とはいえ、日常の飼養管理の延長にあり、馬体に日常と異なった行動、例えば癖、歩様異常や跛行、
  局所の熱感、疼痛、腫脹などの気配りは当然のこと、出走直前にはウォーミング・アップが必要である。

左図:宮崎綾馬事公苑:乗馬競技大会。
右図:宮崎綾馬事公苑での乗馬大会賞状授与式;成績優秀馬には人馬共に栄誉が与えられる。

2)運動後(レース・競技後)の馬の基本的な管理
@ 出走・競技後は、クーリング・ダウン**は当然のこと、手入れの際に全身を隈なく触診することによって
  局所の異常をキャッチすることが可能となり、次走あるいは次々回競技への準備が出来ることになる。
A 特に馬の手入れ時には、筋肉、腱、関節などは入念に触ってみることである。異常に気付いたら関係者と相談の上、
  処置を早期に行うことによって疾患・異常を軽症に済ますコツでもある。
B 特に過激なオーバートレーニング・オーバーロードやオーバーユース時には気配りをしてあげることである。

3)ウォーミング・アップとは?
定義:
@ レース成績の向上と怪我の予防のために、激しい運動を行う前の軽い運動を言う。
効果:
@ 体温が上昇するエネルギー代謝が良くなり、コズミがほぐれる⇔馬がうっすらと汗をかく程度(夏は短く、
  冬は長く)。⇒コズミや疲労気味の馬はゆっくり行うこと⇔時間をかけ筋肉中の乳酸などの疲労物質を
  消失させるために行うのであるから。
A 中枢神経の興奮性が増す;神経の伝達速度が速くなりムダな緊張がとれ集中力(気合い)が増す。
B 身体の柔軟性が増す;関節や靭帯の伸びが良くなり、動きがスムーズになる⇔怪我の予防になる。
C 呼吸循環系の反応がよくなる;心臓や肺の働きが調整され、血液循環がよくなる
D レース前のウォーミング・アップ;身体の温め(怪我の予防)精神面に大きな効果が期待される
  (疲労するような強い運動は避けること)。

4)クーリング・ダウン**とは?
定義:
@ レースや追いきりなどの激しい運動後に行う軽い運動を言う。
効果:
@ 運動によって生じた疲労を速やかに回復させることに効果的である。
A 疲労回復のための休養;
 一般的な休養⇔安静、湯洗い、マッサージ、飼養、睡眠など。
 積極的な休養⇔クーリング・ダウン⇔筋肉に鬱滞(うったい)している疲労物質を速やかに処理させる⇔筋肉の収縮
  と弛緩をリズミカルに繰り返して行ってやること。また、軽い運動の時には時に馬衣の使用や水の補給も
  必要である。
 曳き馬の際⇔人の歩行は馬に大きな影響を与えることから、人馬ともに速い速度とリズムで歩くこと(馬取扱者の
  歩き方の教育・研修が必要?)


5)曳き馬の歩き方の改善・工夫
*小林寛道先生(東大教授)は、海外の国際レースで勝てる内国産馬づくりへの提言として、人間の『引き馬』の際の
 新技術要領を@〜Iのように提唱している⇔検討する価値があると思う

 その主な理由として、常歩の際の馬の速度(60秒/100m)は人間が普通に歩く速度(90秒/100m)よりも
 かなり速いことから、普段から人間自身が速い速度で『曳き馬』を行うことによって、馬がその速度に馴れ・追随し
 『速く走る馬づくりの基本』になるであろうと説いている。

@ 身体全体を大きく、柔らかく、スムーズに使うこと。
A 踵、膝、腰、胸を通るラインが直線になるように着地すること。
B 足首を背屈させた形で踵(かかと)着地し、地面をしっかりととらえること。
C 全身が弓なりのかたちになるようにして身体重心を通過させること。
D 足首の角度は着地からキック終了まで大きく変化させないこと。
E キックは、膝、腰が伸びた姿勢で地面をしっかり押す。拇趾球(足の親指)の部分を意識すること。
F 脚のスウイングの支点は胸椎部位であること。
G 腕振りは、腰が前方に押し出されるタイミングで、胸を張り気味に行うこと。両肩の位置をやや高めに保ち、
  肩甲骨が滑らかに移動する感じで肘を振ること。
H ウオーキングの動作によって、膝の裏側、大腿前面上部、臀部、腰部、背面部及び体幹芯部(コア部分)が
  ストレッチされながらスムーズに活動する間隔を味わうことできるように歩くこと。
I 人馬一体となった速いリズムで歩くこと

積極的な曳き馬時の歩行:Dのコア・ストレッチ・ウォーキングでの歩行が推奨される(原図:小林寛道)。

6)厩務員の履物の工夫・改善
@ 小林教授の述べている曳き馬の際の歩行技術の改善・工夫に加え、大切な事は馬の曳き運動をするスタッフの
  歩様の安定性と推進性を高めしかも歩き易い履物の見直しと工夫は重要なことである
と考えます。
A 最近、美浦トレセンで使われ出し評判の良い厩務員用の特製インソール(中敷き)がありますので、
  こちらのホームページ足のトラブルレスキューを参考にしてみては如何でしょうか。

7)休養馬の体重管理の基本
@ 日常の全身観的な健康観察と検査:
  結膜の色、運動器の異常(骨、関節、筋肉、腱・靭帯)などに注目し日常記録をしておく。
A 休養の理由に合った休養メニュー(運動と飼料給餌)を考えること。
B 過体重と体力維持のためには、運動量の減少に伴う栄養摂取量のコントロールに配慮すること。
  馬管理者は、体重増加に注意し、過剰給与を避けること。
C 原則的には、糖、脂肪を減らすこと但し、運動休止期間は筋量や骨量の減少が起こるため、高タンパク質・
  低カロリー飼料を休養前の運動時と同程度に確保することが望ましい。
D 身体機能に悪影響を及ぼさない減量の上限は、馬体重の10%以下が望ましい。
 
次回は、『骨疾患とその管理』を述べてみたい。


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