9.腱の発生と再生
腱の発生は、筋肉発生のもとである筋原基から胎生1ヵ月以内に起こりますが、筋肉の中で筋組織の発生が抑えられるかあるいは萎縮するために5〜10週の間に腱組織あるいは靱帯組織になります。
腱の更新・再生には、線維と線維の間をうめる基質(タンパク質とヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸を主成分とし、多量の水を含むゾルないしゲル状の物質)を産生する線維芽細胞の働きが約6ヶ月間必要です。また、再生のための栄養源として血液・血行を重視する研究者と滑液(基質と同様、糸をひくように粘り気のある無色透明な液でヒアルロン酸やタンパク質を多量に含む液体)を考える者がいますが、いずれにしても腱炎などの組織を顕微鏡でみてみると、血管の増加は腱にとって有害であって有益ではないことだけは確かです。
(財団法人軽種馬育成調教センター BTCニュース 2002年47号より)